第69回NHK杯 1回戦第11局 ▲杉本昌隆八段対△行方尚史八段の対局から
序盤では先手の杉本八段がゴキゲン中飛車から角道を止め銀冠に、後手の行方八段も銀冠に組みます。中盤で先手が4筋から動き、仕掛けて以下の局面になりました。

ここでの最善手は何でしょう?
正解は△8六飛です。
実戦では後手が△同桂成と取ったのですが、そこで▲6四角と取られて好位置の角が消えてしまいました。

これでも後手は飛車を成りこめて優勢ですが、もっと優位に進める手順がありました。それが△8六飛です。

以下▲同歩△7七桂成とします。

ここで▲同銀なら△4六桂と打って金の両取りがかけられます。▲5五歩と角道を止める手には△6七成桂▲同金△5八角で飛車金両取りがかけられます。
角取りに▲6五歩と打ってくる手には△3三角成▲同金△7六成桂▲5七銀△6七成桂と進めます。

ここで▲同金なら△5八角で飛車金両取り、▲4八金や▲4七金なら△4五桂と跳ねて後手勝勢です。
最初の問題図の▲7七桂が先手にとって形勢を大きく損ねる一手でした。代わりに▲5五歩としておけば後手優勢ですがまだまだ難しい将棋です。